2013年10月4日金曜日

羽田空港昼間時間帯の国際線増枠 ANA・JALはどう使うのか?~夏ダイヤのIATA申請期限は10月10日


 
 
 
羽田空港昼間時間帯の国際線増枠とは・・・

 羽田空港国際線、2014年3月30日以降、昼間時間帯発着枠(午前6時~午後11時)は、1日当たり40枠増えます。羽田空港は、再国際線化をしていましたが、一部近距離国際線を除いて、夜間発着を基本となっていました。2014年3月30日以降、24時間、国際線の発着が行われることになり、大きく様変わりしていきます。

 
 国土交通省は、10月2日、2014年夏期ダイヤ(2014年3月30日以降)から拡大する羽田空港の昼間時間帯における国際線発着増枠について、日系2社、ANAとJALへの配分を発表しました。
 
 現在、二国間の航空交渉で合意ができている発着増枠は31枠、日本の航空会社分16枠、相手国の航空会社分15枠です。今回、この増枠16枠のうち、ANAに11枠、JALに5枠を配分、具体的には、下記の表のようになっています。ただし、アメリカとは航空交渉が合意できていないようで、残り9枠(日本の航空会社4枠、相手国の航空会社5枠)は、今回未配分となっています。
 
 
 日本側航空会社の発着枠が2枠増となったのは、イギリス、フランス、中国、シンガポール、タイ、ドイツの6カ国で、ベトナムとインドネシア、フィリピン、カナダの4カ国は1枠増の配分となっています。その日本側航空会社、増枠配分の内、イギリス、フランス、中国、シンガポール、タイは、ANAとJALに1枠ずつ割り当てとなったが、ドイツの2枠とベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダはANAに割り当てています。
 
今回のANA、JALの配分について・・・
 
 今回の配分について、ANAは傾斜配分、JALは均等配分を主張してきました。結果は、ANAの主張どおり、「傾斜配分」になっています。
 これについて、国土交通省は、傾斜配分した理由について「現時点ではANAが主張する競争環境の歪みが生じているとは言えないが、ANAとJALの間に財務面で体力差が生じてきている。これが今後の歪みにつながることを懸念し、傾斜配分の判断に至った」と説明しているようです。
 JAL再建への「公的支援」が「航空会社間の競争環境が不適切に歪められていないか」という問題意識があるようですが・・・。
 
 これに対し、ANAは、「『日本航空の企業再生への対応について』に基づく判断がなされた」と評価し、JALは、「不公正な内容。かつ民間企業の自由な活動である新規路線開設を制限するという新たな基準を設けるもので、到底承服できない」とコメントしています。どちらの主張も、白々しく聞こえるのは、私一人だけでしょうか?利権確保のため、利用者不在の「政治ゲーム」の結果、こんな高尚なコメントとは。国土交通省も綺麗事を並べすぎてますが、官邸の意向を踏まえているのでしょうが?・・・。
 
 私は、元JAL派、現住所ANAですが、日系は、最近、どちらも、サービスを除けば、航空運賃は高いし、一部を除いて変更不可など使い勝手も悪いし、マイレージは改悪続きです。大枚をはたいてくれる「上客」以外は、どうでも良いという雰囲気すら感じています。そんなことも有り、日系とは、ソロソロ付き合い方の見直しを考えています。海外の航空会社も、サービスに過大な期待をしなければ、安くて良い座席で移動できますから、日系は、SFCやJGCがあるので、十分かなとも・・・
 
 私の感想を言わして貰えば、今回の羽田空港昼間時間帯の国際線増枠「傾斜配分」、少し政治的なやり過ぎかなと思います。JALに肩入れした「民主党政権」へのしっぺ返し、今「自民党政権」がやっているのかな、そんな気もしています。
 今回の増枠、国際線の現在の便数や「公的支援」の経緯をみれば、ANAへある程度傾斜配分は仕方ないと思っていましたが、ここまてやるとはやり過ぎです!2枠増は、1ずつ配分し、1枠の国についても、1枠、JALに配分して、9:7程度が、本来の収まりどころではないかと思うのですが、特に、ドイツの2枠全部ANAとは、LHが有って、☆組のハブですから、ヨーロッパ方面は、ANAが圧倒的優位に立ちそうな感じがします・・・。
 
 羽田の国際線は、成田空港より交通インフラがよく、収益性が高く、昼間帯1枠で年間100億円程度の売上高があるといわれ、美味しい枠のようです。利権獲得のような側面も・・・。
 今回の結果に対する皆さんの評価も色々のようです。「傾斜配分は仕方なし」「やり過ぎだ」「政治介入の結果では?」など色々です。航空会社の経営、力学だけが聞こえてきますが、利用者サービスの視点はほとんど聞こえてきませんね?・・・

 JALも、山崎豊子さんの小説ではないですが、もともと、政治の世界にどっぷり浸ってきた航空会社、その「倍返し」を今受けるとは・・・。この次は、ANAが今回の傾斜配分の「倍返し」をされる番かもしれませんが・・・。
 航空行政も、「競争環境」より、「安全」「安心」の利用者第一が基準にすべきでは。JALの「公的支援」は間違っていたと個人的には思っていますが、しかし、今回のように、それを何時までも引きずるやり方は止めた方が良いのではと・・・。
 そろそろ、国土交通省も利権分配の考え方を改め、ANAもJALも、「政治ゲーム」と縁を切って、利用者視線に立ち戻った航空会社にならなければ、競争以前に、利用者から見放されますよ・・・
 
増枠分、ANA・JALはどう使うのか・・・
 
 今回の増枠分、来年の夏ダイヤ(2014年3月30日以降)から反映されますが、IATA(国際航空運送協会)に対し、10月10日まで、各空港で利用する発着時間帯を申請する必要があります。

 確定ダイヤではないにせよ、10月10日には、ある程度、増枠分の運航、発着時間帯が明らかになってくるのではないかと思います。
 ANAもJALも、羽田空港発着のフライトだけでなく、成田空港発着便の見直しに手をつけると思われます。羽田空港昼間時間帯の国際線増枠ですから、羽田空港発着便、増枠を利用して、成田空港からの移管や発着時間帯、機材の変更など色々ありそうです。

 また、成田空港発着も、羽田空港発着へ移管に伴う減便、その空きスロットを使って、新規路線開設や増便、機材の変更など、こちらも色んなパターンが出てくるのではないでしょうか・・・。ANAは、JALとは違い、羽田へ路線移管に伴い、空きスロットが出るでしょうから、直行便のないトルコ・イスタンブール線などに新規路線を飛ばしてほしいですね・・・

 今回の増枠の傾斜配分の結果、国際線、 ANAは羽田空港がメインハブ、JALは成田空港がメインハブと棲み分けがされそうです。現在工事中の羽田空港国際線ターミナルのサテライト、ANAは、スイートラウンジ・ANAラウンジを設置しますが、JALは断念して、CXに任せるようです。

 今回の増枠で、ANAの場合、羽田空港から、欧米、東南アジア、中国など主な国へ発着できるようになったのは、アドバンテージです。特に、今後、需要増が見込まれるベトナム、インドネシア、フィリピンの枠を獲得したのは大きいと思います。
 恐らく、出張で使う人達、JALじゃなければ駄目という会社や個人以外、かなりANAの羽田路線に流れそうです。JALに打撃にならなければ良いのですが・・・

 今回配分が決まっていない残りの増枠9枠は、アメリカとの航空交渉を継続するようですが、どういう扱いになるのか、来年の夏ダイヤに間に合うのか・・・。
 恐らく、アメリカ線9枠なら、日本の航空会社4枠、さすがこちらは2:2だと思いますが、ANAが羽田から午前便のワシントン線を飛ばすなら、ANA3枠、JAL1枠の可能性も有りそう?
 ただ、JALは、今回の増枠配分に納得できないとして、国土交通省に申し入れし、その対応によっては「行政訴訟」も考えているとか、この配分済みの増枠分がひっくりかえることはなさそうですが、このJALの動き、アメリカ線の配分を視野に入れているのかも。最終的にはどうなるか分かりませんが・・・

 

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